以下は、12年度の小テストの問題です。12年度期末試験では、これと同じ内容の、記述問題(2問)及び択一問題(12問)、及び論述問題(1問)を出題しました。 1,国際社会における経済活動の相互浸透とは反対の現象を一つ選択せよ。 a. 経済のブロック化と貿易障壁 b. 貿易の自由 c. 多国籍企業の登場 d. WTO協定の成立 e. 直接投資の自由 2,WTOの基本原則(GATT1条、2条、3条、11条)ではないものを一つ選択せよ。 a. 資本移動の自由・投資の自由 b. 数量制限の一般的禁止 c. 関税引き下げの原則 d. 内国民待遇 e. 最恵国待遇 3,次の内から間違えている記述を一つ選択せよ。 a. 輸入制限は、全て関税化することが原則である。 b. ケネディラウンドでは、関税の一括引き下げ方式が採用された。 c. 日本のコメは、数量制限禁止の例外である。 d. GATT及びWTOの下で、多角的貿易交渉が行われ、世界の貿易量が劇的に増加した。 e. 国内産業保護のために、いつでも自由に輸入数量制限ができる。 4,次の文章の内、誤っているものを一つ選択せよ。 a. 内国民待遇はサービス協定(GATS)では原則とされていない。 b. 最恵国待遇原則は、同種の産品について、相手国間で差別しない原則である。 c. 内国民待遇は、GATTに規定されていない不文律である。 d. 内国民待遇原則は、輸入品と国内産品を差別しない原則である。 e. 最恵国待遇はWTO協定を通じる基盤原則である。 5,次の内、内国民待遇に違反するものではない措置はどれか。一つのみ選択せよ。 a. 日本が焼酎とウィスキーに対する酒税の税率を極端に異なるものとしていたこと。 b. 日本政府が写真フィルム流通網の合理化効率化のために行った行政指導が、輸入品に不利ではなかった場合。 c. 進出企業に対して、国内産品の混合ないし使用を要求する数量制限を行う。 d. 輸入品に対して、国内での販売等に関する法令要件を特に規定する。 e. 輸入品に対して、内国税その他の課徴金を加重すること。 6,関税定率法8条に基づき、ダンピング防止税を賦課するための調査手続を規定する国内法の名称として正しいものを一つ選択せよ。 a. 不正競争防止法 b. 不当廉売関税政令 c. 緊急関税政令 d. 独占禁止法 e. 国際物品売買条約 7,合衆国1916年アンチダンピング法(1916年法)に関して、次の文章の内誤っているものを一つのみ選択せよ。 a. 1916年法では、ダンピング損害額の3倍の賠償金を請求可能である。 b. 米国1916年法に関するWTO提訴の結果、1916年法はWTO協定違反ではないとする決定がなされた。 c. アメリカの国内法である1916年法では、ダンピング被害を受けた私人が被った損害の賠償を求められる。 d. ゴス社は、日本の東京機械製作所に対して、1916年法に基づき損害賠償を請求し、敗訴した東京機械製作所が賠償金を支払った。 e. WTO協定に違反する1916年法に対して、日本が対抗立法を制定した。 8,韓国ハイニックス社半導体の事件について説明する次の文章の内、誤りのあるものを一つ選択せよ。  ハイニックス社は、2001〜2002年、合計72億ドルの大赤字を計上し、160億ドルを超える債務の重みに沈没しかけていた。存続できたのは、50億ドルの債務を同社株式81%に転換する債務整理計画を両年にわたって債権者が受け入れたおかげだったが、政府からの「指示」があったとされる。これが、補助金に当たるかがWTO上、争われた事件である。 a. 補助金相殺措置協定第一条の補助金の定義が問題となる。 b. WTOにおける、アメリカ、EU、日本のいずれの事件でも、韓国政府が勝利した。 c. WTO上級委員会によると、韓国政府の暗示的で非公式の「指示」があり、その圧力のおかげで、民間の金融機関が通常実行されないような債務再編計画に合意した。 d. 韓国政府の補助金のゆえに、ハイニックス社製半導体が安価に輸入されたため、米国国内のDRAM価格の急激な下落があり、国内半導体産業が損害を被った。 e. 半導体は急激な価格変動を起こしやすい市況商品であり、需給のバランスが原因であれば、ハイニックス半導体の輸入と国内価格の急激な下落との間に因果関係がないといえる。 9,アメリカの鉄鋼セーフガード措置に関する2003年上級委員会報告について、次の文章の内、誤りのあるものを一つ選択せよ。 a. EC及び日本が、アメリカのセーフガード措置に対して、相当額の対抗措置を通告していた。 b. 上級委員会報告によると、アメリカにおける鉄鋼輸入の増加が、予見されなかった発展の結果であることが立証されていない。 c. 輸入の急増があったと言えるためには、アメリカ調査当局が行ったような、調査開始時と終了時の、二つの時点の比較では足らず、全体の輸入の傾向を評価しなければならない。 d. 2003年上級委員会報告で、アメリカが敗訴した。 e. 米国内の鉄鋼ユーザーの反発もあったが、アメリカ政府はセーフガード措置を撤回しなかったので、各国の対抗措置が発動された。 10,次の文章の内、誤りのあるものを一つ選択せよ。 a. WTO紛争解決手続は、灰色措置を禁止することで、米国の一方措置を封じ込めることを意図する。 b. 米国通商法301条は、WTO協定違反の問題を全く生じない。 c. スーパー301条は、ガットが承認する以前にアメリカの報復措置をとることを可能とするものであった。 d. 1974年通商法301条がアメリカの一方主義貿易政策の核心である。 e. スーパー301条は、外国の不公正貿易慣行の一覧表を準備することをUSTRに義務付けるものである。 11,メキシコの債務危機のときに確立された債務国救済のモデルが、先例のようなものになり、以降の地域債務危機の際に繰り返されることとなった。この要素として誤りのあるものを一つ選択せよ。  当事者は、債務国政府、国際機関(IMF、BIS、世界銀行)、および、債権者団(先進国政府、民間の債権者ら)であった。 a. 基金はスタンド・バイ取決めに規定された基準の、債務国による履行をつぶさに監視し、債権者である銀行が、債務国と再融資の交渉をする際にその情報を提供する。 b. IMFが債務国改革の指導及び監視を行う限り、債権者団が新たな融資を行う。 c. 債権者団が新たな融資を行う限り、国際機関が債務国政府にコンディショナリティーを課し、その履行状況を監視する。 d. 国際機関が債務国政府の構造改革について監視を行う。 e. 国際機関が債務国政府の改革の指導及び監視を行わないので、債務危機に陥った国の救済がなされ得なかった。 12,ユーロ・カレンシー(域外通貨)市場に関する次の記述の内、誤りのあるものを一つ選択せよ。 a. ユーロ・ダラー、ユーロ・ユーロ、ユーロ・ポンド、ユーロ・円などがある。 b. ユーロ・ダラーが圧倒的な取引規模を有する。 c. ある国の法定通貨がその国の主権外で流通する市場のことである。 d. 巨大な規模の銀行間取引のことである。 e. ユーロ・カレンシー市場とは、EUの共通通貨であるユーロの市場を指す。 13,ユーロカレンシー取引の法的性質に関する次の文章の内、誤りのあるものを選択せよ。 a. ユーロカレンシーは、通貨発行国の法的規制に服さない。 b. 通貨発行国に通貨主権が存在し、例えば、ドルを発行する権限は米国政府の専権事項である。 c. 米国外のユーロダラー取引は、最終的には、これと見合いの米国内にあるドル預金の帳簿上の付け替えに帰着する。 d. 米国銀行本店は、外国支店にある預金について、常に必ず、支払に応じる責任を有する。 e. 米国法上、米国の銀行本店とその外国支店は別人格であり、外国支店が保有する預金について、原則として本店が支払責任を負わない。 14,法の適用範囲を決定する場合の法原則として、誤っているものを一つ選択せよ。 a. 自国内で規制対象行為の重要な部分がなされた場合に、自国公法を適用できる。 b. 私法についても、公法と同様に外国法の適用がなされ得ない。 c. 公法の属地的適用の原則から、公法については自国法の適用のみが可能である。 d. 外国でなされた行為の効果が自国内に生じる場合に、自国公法を適用できる。 e. 私法については外国法の適用が可能である。